火曜日, 8月 05, 2008

里親

すばらしい人に会いました。話はやや長いです。そして誰がすばらしいのかわかりますか?


高橋さんという方がご挨拶にこられました。30歳前後の背の高い美人です。JICA(旧国際協力事業団、現国際協力機構)の一員として2年数ヶ月アフガニスタンに滞在していました。最後の1年半くらいはわれわれの医学教育プロジェクト担当でした。医療職でなく、いってみれば事務担当で、お金の支払いや、面会のアポや、会議の設定など種々雑多なことを一人でやってくれました。われわれのプロジェクトが終了したので、帰国し、9月から米国のコロンビア大学(ニューヨーク)で教育政策学の修士課程に入るそうです。

アフガニスタンの思い出や、これからのことなどひとしきりお話して、「今はご自宅でお母さんに甘えているのでしょう?」といったら「いえいえ、今は子供が多くて大変です」とのご返事。それって何?

彼女は兄が独りいて二人兄弟です。その兄も、独立して家を出ています。それでお母さんのたっての希望で、里子を3人あづかっているそうです。一番上は19歳の男の子、両親がいなくて、ここ2年半、高橋家にいて今は高校を卒業して警備会社で働いているそうです。

もう一人は小学6年生の女の子、両親が離婚して、育てるはずの実のお母さんは犯罪を犯して今は服役中とのこと。最後の一人は、小学1年生で、両親がアル中で育てることができないとのこと。小学生二人は、7月から高橋家にいるそうです。自分は里親・里子制度に疎く初めて聞いたのですが、育てる期間は、原則、実の親が養育できるようになるまで。親がいないときや、育てることがずーっとできないときは18歳になるまで。とはいえ、18歳になったら本当の子供のように思うでしょうね。養育費は役所から出ますが、食事代をまかなえるかどうかという程度で、やはり実の子のように育てようとすると、習い事や塾など行かせたくなるので大幅な持ち出しだそうです。

この里子を引き受けるというのは、高橋さんのお母さんの長年の希望だったそうです。自分のお子さんが2人もいて、何でまた?と思いませんか?

そうたずねたら、「きっと母の母(おばあちゃん)の影響と思います」とのこと。おばあちゃんは子供が4人いて、長男は小さい頃に病死、次男は統合失調症だそうです。3男が跡取りで、女の子が高橋さんのお母さんというわけです。このおばあちゃんは、次男のためもあって、役所の助けを借りずに自分の手で統合失調症のためのグループホームを作って運営されていたのだそうです。統合失調症の人が5人-10人程度、一緒にすんで共同生活を学んだり、労働の真似事のようなものをします。その世話たるや大変なものです。

比べるのはナンセンスかもしれませんが、知恵遅れのグループホームのほうがはるかに楽です。幻覚や幻聴のあるものが一緒にいるとそれは大変です。暴力沙汰もきっと日常茶飯事でしょうね。そのようなおばあちゃんの姿を見てお母さんは育ち、里子を育てたいと思ったようです。高橋さん自身もおばあちゃん娘で、その影響か、国際協力をしたいと思ったそうです。

皆さん、すごいですね。奉公滅私という言葉がありますが、そうではなくて、皆さんほかの人のために生活することで、かえって自分らしい生活ができているように思います。滅私でなく、自分を生かしているのですね。
教育者の端くれとして、子供は環境で育つとは思いますが、でも遺伝子の部分も相当と思います。犯罪者の子供や、アル中患者の子供というと、やはりどうもひいてしまうと思うのですが、引き取って育てようとするのは、言葉がないくらいすごいです。
皆さん、良かったら感想を下さいませ。